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どうなる金利と株 リーマンショック後の30年を読む

第2回 80年前の失敗

2018年12月14日

リーマンショックが起きたとき、世界の金融と政治の責任者が共通して認識したことがあった。
80年前の失敗を繰り返してはならないということだった。

80年前の失敗は、以下のような推移だった。

  1. 第一次世界大戦後のデフレ不況から立ち直れない各国は、自国のことで精いっぱいで国際的に協調して助け合うことができず、いがみ合いに終始してしまった。
  2. 世界は仲間内で利益を囲い込む内向き志向になり、ブロック経済が進行した。これが世界貿易の縮小を引き起こし、世界的なデフレを長期化させた。
  3. いがみ合いと内向き志向は、資源を持たないドイツや日本を経済的に困窮させ、それを打破するため両国は“窮鼠猫を噛む”的な無謀な行動(第二次世界大戦)に走った。
  4. 第二次世界大戦(1939~1945)で英国やフランスなどの欧州各国は勝ったとはいえ、それは名ばかりの勝者で、米国またはソ連の援助がなければ復興もままならない壊滅的な経済状態に陥った。
  5. 第二次世界大戦後は米ソが東西で対立する冷戦構造になり、二分された世界の中での非効率な経済活動と軍事費の膨張によって、徐々にインフレが進行し、世界経済は蝕まれていった。

上記の反省を踏まえて、リーマンショックに対応するにあたって、世界の政治家と金融当局は、

  1. 世界が協調して経済対策にあたることを確認した。
  2. 経済主体である民間の経営者がリスク・テイク・マインドを維持できるように、通常の不況対策である金利の引き下げに加えて、民間部門が保有する債券や株式、不動産を政府や中央銀行が買い上げる“特別措置”も実施した。

民間企業が保有する国債などの有価証券は、「将来の工場建設などの設備投資のための資金」や「万が一の事態に備えた資金」を一時的に有価証券で保有しているものである。

この有価証券が想定内の価格でスムーズに換金できない事態になると、工場建設などの設備投資をキャンセルし、委縮した経営になってしまう
このような経営者のリスク・オフ・マインドを回避するために、「民間保有の有価証券は、いつでも自由に、想定内の価格で換金できる」状況を作り出す必要がある。
このために実行されたのが“特別措置(量的金融緩和・異次元金融緩和などと呼ばれる)”なのだ。

このような通常の金利の引き下げ+“特別措置”の実施によって、2009年頃から経済と株式市場は安定と回復を見せ始めた。

今回のまとめ
第一次世界大戦後のデフレ不況に際して、世界は「いがみ合い、ブロック経済、第二次世界大戦で米国以外の経済は壊滅」という不幸を招いた。
リーマンショック後はその反省のもとに、世界が協調して「通常の金融緩和+“特別措置”」を実施した。その結果80年前の不幸の再来は回避された。

第3回「民間が出てきたら、政府は引っ込む」は、12月21日(金)に掲載予定です。
「通常の金融緩和+“特別措置”」の効果が見え始めると、お役目交代のフェイズになるのだが・・・

  • ブロック経済:本国と植民地、あるいは同盟国でひとつの経済圏を形成する排他的な経済体制。世界恐慌後から第二次大戦中にかけて、英国連邦やフランスなどの植民地を持つ国が、本国と植民地の間で特恵関税を設定するための関税同盟を結び、域外市場に対して関税障壁を設けて閉鎖的な経済体制を形成した。
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過去の連載

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2018年12月07日 第1回 リーマンショックから10年が経過した

執筆者プロフィール

春山 昇華(はるやま しょうか)
1978年京都大学法学部卒。87年から英国・ロンドンにて株式と債券による国際分散投資に従事。オフショア登録ファンドでトップの成績を記録。帰国後は、国内系・外資系の投資顧問会社などで年金基金の運用に従事したのち、投信の立ち上げと内外株式のCIOなど多彩な活躍。
個人投資家による投資立国の必要性を感じ、投資知識の普及を目指して96年よりネットで情報を提供する。現在は個人投資家を対象に春山ゼミを主宰するとともに、企業向けのアドバイスも行っている。
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