三井住友トラスト・アセットマネジメント

三井住友トラスト・グループ

春山昇華の豊健活教室

最新連載

どうなる金利と株 リーマンショック後の30年を読む

第35回 リーマンショックの犯人(1)~金融政策への過度な依存~

2019年08月16日

リーマンショックとは、3個のバブルの崩壊が重なった金融危機だ。
狭義には、金融セクター(金融&不動産)バブルの崩壊、広義には、付随して発生していた新興国バブル、資源エネルギー・バブルの崩壊も含む。



金融セクター(金融&不動産)バブルの崩壊は、金融緩和によって生じたお金の大波が「やって来ては去って行く」という金融のサイクルの繰り返しの中で、よく起こる出来事である。

新興国バブル、資源エネルギー・バブルの崩壊は、強欲な投資家の大量発生と失敗の結末だ。
投資家は普段は慎重だが、一定数が盛り上がると乗り遅れまいと一気に楽観的に同調する特性を持つ。特に「長期的な夢のビジョン」を示されると信じ込んで突進する。

新興国バブル、資源エネルギー・バブル当時の投資家が夢見て信じたことは、以下のような夢のビジョンだった。
・経済成長の鈍化した先進国から明るい未来の新興国に20-30年にわたって大量の資金が流れ込む
・新興国の経済発展にともない新興国の証券市場は20-30年にわたって先進国を上回り続ける
・新興国の経済発展は資源エネルギーの長期に大量な需要を生み出し、原油価格はあっという間に上昇する
・資源エネルギーは、長期上昇局面の真っただ中にある


リーマンショックを引き起こした主たる要因は以下の3ファクターだ。
(a) 金融政策へ過度に偏重した景気対策
(b) 景気回復の主役を押し付けられた銀行
(c) 銀行に暴走を強いる強欲な投資家

まずは、(a)金融政策へ過度に偏重した景気対策、という要因を説明したい。

不況から脱出する主な政策は、金融を緩和する金融政策と政府が支出を増やして景気を刺激する財政政策の二種類がある。

多くの政府は、増税を嫌い一方では社会福祉の拡充を要求する有権者に取り囲まれているので、予算執行に必要な税金額を徴収できない。
効果のある財政政策を実施することは、現代の政府には困難である。

その結果、中央銀行に対して景気回復のための金融緩和を過度に強いることになる。
財政出動無き景気浮揚策は、異常なまでに低いレベルの金利過剰なレベルの資金供給だ。

景気を復活させようと中央銀行が金融緩和を開始する。
「どんどん貸せ、もっと貸せ」と政府や中央銀行から民間銀行は要請される。

貸出基準を緩和しないと貸出量の拡大要請に対応できない。
その結果、安易な貸付が増加する。
結果的に安易な貸付の規模がバブル的な大きさまで膨張する。
しかし、金融緩和が止まり、緩和継続を前提とした甘い経営行ってきた企業が苦しむと、安易な貸付が巨大な不良債権の山となって銀行経営を圧迫する。
リーマンショックは安易な貸出の規模、不良債権の規模が前代未聞の大きさとなり、安泰だと思われていた巨大な金融機関をも破たんさせた。

今回のまとめ
財政出動無き景気浮揚策は、異常なまでの低いレベルの金利過剰なレベルの資金供給だ。
貸出増加を要請された銀行は貸出基準を緩和せざるを得ず、安易な貸付の規模がバブル的な大きさまで膨張するが、結局は安易な貸付は巨大な不良債権の山となって銀行経営を圧迫する。

第36回「リーマンショックの犯人(2)景気回復の主役を押し付けられた銀行」は、8月23日に掲載予定です。
銀行は金融緩和時に不動産業者向けのローンを増やすのだが、それは・・・・

  • 当資料は春山昇華氏の個人の見解であり、三井住友トラスト・アセットマネジメントの見解を示すものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
  • 当資料の内容は掲載時点における市場環境やこれに関する春山昇華氏の見解や予測を示すものであり、春山昇華氏および三井住友トラスト・アセットマネジメントがその正確性、完全性を保証するものではありません。

【前回】   第34回 金利上昇と新興国(3)~金を貸す方に殺生与奪の権利がある~

過去の連載

執筆者プロフィール

春山 昇華(はるやま しょうか)
1978年京都大学法学部卒。87年から英国・ロンドンにて株式と債券による国際分散投資に従事。オフショア登録ファンドでトップの成績を記録。帰国後は、国内系・外資系の投資顧問会社などで年金基金の運用に従事したのち、投信の立ち上げと内外株式のCIOなど多彩な活躍。
個人投資家による投資立国の必要性を感じ、投資知識の普及を目指して96年よりネットで情報を提供する。現在は個人投資家を対象に春山ゼミを主宰するとともに、企業向けのアドバイスも行っている。
  • 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
  • ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
  • 投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益は全て投資者の皆様に帰属します。
  • 投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではありません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。
  • 当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、今後予告なく変更される場合があります。
  • 当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、将来の市場環境の変動等により運用方針等が変更される場合があります。
  • 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開発元もしくは公表元に帰属します。

お気に入りファンド

現在ご登録いただいているファンドはありません。
お気に入りファンドの登録方法

  • 動画コーナー