ウィークリーレポート・マンスリーレポート
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こんにちは、コミックエッセイストのうだひろえです。
私たちのお金の投資先として、「未来のチカラ」のある企業を見つけてきたこの連載。今回と次回は、クライマックスとも言える壮大なテーマ、「宇宙」です。いきなり「宇宙」と言われましても、そのイメージは大きすぎて、身近な生活の中での接点など思い浮かばなかったのですが、聞いてみると出てくる出てくる、ここにもそこにも、私たちの身近なところに、宇宙を感じることができました。
例えば、以前の「エコ」テーマでも扱った、環境問題、特に地球温暖化は、私自身の実感としても、子どもの頃と比べて夏の暑さが厳しくなっていることから、何らかの対策を取らねばならないこと痛感しております。
今年もすでにあまりに暑い日が続いているので、世界中を「CO2削減してねぇやつはいねえか〜」となまはげのようにチェックしてまわりたくなります。しかし私がそんなことをしなくても、それこそ「宇宙」から、地球上のCO2排出量をつぶさに観測している存在があるのだそうです。それが「軌道上炭素観測衛星(Orbiting Carbon Observatory・OCO)」、2014年にはNASA(アメリカ航空宇宙局)がOCO-2の打ち上げに成功し、2019年には国際宇宙ステーションにOCO-3が搭載されました。日本のJAXA(宇宙航空研究開発機構)では温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」がその役割を担っています。(参考:環境庁HP・http://www.env.go.jp/earth/ondanka/gosat.html)
それまで大気中の温室効果ガスの観測手法としては主に地上観測が取られていました。このため、砂漠や海洋、山岳部などを含む地球全体のデータを網羅することは難しいとされてきました。しかし、人工衛星は地球を周回しますから、それが可能になるわけです。ただその際、重要となるのは、観測データの「精度」です。地上観測よりも、大気中に含まれる水蒸気や微量物質から受ける影響も大きいことから、より高い「精度」が求められてきました。そこで「未来のチカラ」が現れます。OCOでは、分光計を利用して地球から反射される太陽光の波長成分を分解、測定することで温室効果ガス濃度とその流れを観測します。つまりその分光計の能力によって「精度」が決まってくると言えます。2019年に国際宇宙ステーションに搭載された「OCO-3」の分光計では、コア部分であるセンサーを開発・提供しているのは、アメリカの電子・通信機器メーカーである「テレダイン・テクノロジーズ(Teledyne Technologies)」。確かな技術力で、海洋・環境の計測や監視および制御機器、特に大気やプロセスガス*1の監視では世界シェア1位の企業です。また、宇宙空間のような厳しい環境にも耐えうる同社のセンサーは、NASAの火星探査機にも採用されています。*1半導体や太陽電池などの製造プロセスにおいて、ウェハ処理などに使用される不活性ガスや特殊ガスなどの総称。
OCOのように宇宙にある衛星から得られる情報は、「宇宙ビッグデータ」と呼ばれ、様々な分野で役立てられています。すでに身近なところでは、天気予報の「気象衛星」やGPSなどの「交通」がありますが、他にも「衛星通信」「海運・空運」「農業」「漁業」「物流」などその活用は多岐に富んでおり、それぞれに企業の力が及んでいることは想像に難くありません。
(参考:MIRAIndex 宇宙・https://www.smtam.jp/special/miraindex/universe.html)
それぞれのチカラが合わることで、私たちの未来の可能性は、それこそ宇宙のように無限に広がっているように思えてきます。そしてその可能性が見せてくれる「光」は、宇宙のような暗闇の中でも、確実に明るく、具体的な「豊かな未来」を照らしてくれそうです。
そんな企業に投資をすることで、自分のお金がそんな無限大な未来に関わることができたら、誇らしい気持ちになれそうですね。
今回も、素晴らしい「未来のチカラ」を知ることができました。
次回は、そんな「宇宙」のまた別のチカラを見ていきたいと思います。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
※当資料はうだひろえ氏の個人の見解であり、三井住友トラスト・
※当資料の内容は掲載時点における市場環境やこれに関するうだひ