三井住友トラスト・アセットマネジメント

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春山昇華の豊健活教室

どうなる金利と株 リーマンショック後の30年を読む

第3回 民間が出てきたら、政府は引っ込む

2018年12月21日

リーマンショックのような100年に一度といわれる規模の金融危機では、民間経済の多くは委縮して穴倉に入って出てこなくなる。それではデフレ不況から脱出できないので、政府部門(中央銀行を含む)が出動する。
政府部門の出動とは、リーマンショック後になされた「“通常の金融緩和”+“特別措置(量的金融緩和、異次元金融緩和)”」であった。

その甲斐があって、2009年2月には各国の株式市場は最悪ポイントを通過し、その後は実体経済も徐々に改善を見せた。
実体経済が改善を見せると、民間経済は穴倉から出てきて正常な活動を開始する。
民間が出てきたら、政府は引っ込む、それが金融経済政策の常道だ。

世界で真っ先に実体経済が回復して、民間経済が穴倉から出てきたのは米国だった。
民間が出てきたら政府は引っ込む、それを実践し始めたのが2014年夏のことだ。米国政府は“特別措置”の縮小に着手した。民間から買い上げていた証券を売り買いネット・ゼロ、つまり買い入れを中止したのだ。

金融緩和時における実質的な米国政策金利

上掲のグラフはアトランタ連銀のホームページに掲載されたものだ。
グラフに示されているのは、米国政策金利(FF(フェデラル・ファンド)レート)と“特別措置”を考慮した実質的なFFレートだ。“特別措置”を加味すれば、実質的なFFレートはマイナス3%程度まで低下したことを示している。

さらに、実質的なFFレートは“特別措置”が縮小するにつれて徐々に上昇している。
これは金融政策が「異次元金融緩和 → 通常の金融緩和」へと転換した(=方向的には金融引き締め)ことを意味する。

また、下掲のグラフを見ると、バブルの本丸だった不動産業の株価(S&P500住宅建設株指数)も株式市場全体(S&P500指数)も、2009年2月を境に上昇に転じている。
しかし、2014年夏の“特別措置”の縮小に着手するまでには、さらに5年以上の回復期間が必要だったことになる。
それほどまでにリーマンショック前までのバブル崩壊の被害は大きかったのだ。

米国株式市場の推移(不動産業、市場全体)

今回のまとめ
「“通常の金融緩和”+“特別措置(量的金融緩和、異次元金融緩和)”」によって株式市場と実体経済は回復トレンドに移行した。
経済回復の先頭ランナーは米国であり、2014年夏から“特別措置”の縮小に着手した。

第4回「正常化には痛みが伴う」は、12月28日(金)に掲載予定です。
金融政策が転換すると、変化に耐えられない脆弱な企業の淘汰が始まる・・・

  • 日本(日経平均株価)、米国(NYダウ)、欧州(ドイツ DAX)、香港(ハンセン指数)において、2009年2月(期間:2007年1月~2018年11月(各月末基準))に各国株価(指数)は最低を記録。

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執筆者プロフィール

春山 昇華(はるやま しょうか)
1978年京都大学法学部卒。87年から英国・ロンドンにて株式と債券による国際分散投資に従事。オフショア登録ファンドでトップの成績を記録。帰国後は、国内系・外資系の投資顧問会社などで年金基金の運用に従事したのち、投信の立ち上げと内外株式のCIOなど多彩な活躍。
個人投資家による投資立国の必要性を感じ、投資知識の普及を目指して96年よりネットで情報を提供する。現在は個人投資家を対象に春山ゼミを主宰するとともに、企業向けのアドバイスも行っている。
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