三井住友トラスト・アセットマネジメント

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春山昇華の豊健活教室

どうなる金利と株 リーマンショック後の30年を読む

第4回 正常化には痛みが伴う

2018年12月28日

経済回復の先頭ランナーは米国であり、2014年夏から“特別措置(量的金融緩和、異次元金融緩和)”の縮小という金融政策の変更に着手した。
金融政策の変更は、企業の経営環境を変えるパワーを持っている。環境が変われば、栄えた企業が滅び、新たな企業が浮かび上がる。

“特別措置”の縮小、つまりは金融政策の引き締め方向への変化は、それまでの「誰にでも、何億円でも、低金利で、何年でも」貸します、と言われるぐらいの“借金天国”を変えた
貸せる相手なのかという選別、いくらまで貸せるかの判断、何%の金利が妥当な相手なのかの分類、何年まで貸せるかの判別、などの融資審査が強化されるようになった。
“借金天国”がまだまだ続くというガードの甘い姿勢で多額の借り入れをしていた企業ほど、この変化に対して脆弱だ。

2014年夏の米国において最も脆弱な経営をしていたのはシェール・オイル&ガスのエネルギー産業だった。
当時のシェール・オイル&ガス関連企業は、「エネルギー・バブルと低金利借り入れ」が継続するという前提で巨額の借り入れをして、20年~30年スパンのビジネスを開始していた。しかし、バブル崩壊でエネルギー価格は大幅に下落して、巨額借り入れをした際に計画した採算性は大きく悪化していた。
そして、その時に金融政策が転換し、銀行の融資姿勢が厳しくなったのだ。

下掲チャートを見れば、米国の金融政策が変更になり、銀行の融資審査が厳しくなったとき(=薄色ピンク部分)を境に、借入信用コスト*が急上昇し、それを受けて巨額の借り入れをしていたシェール・オイル&ガス関連企業の株価が大きく下落を始めたことが示されている。
その下落規模は、先進国株式と比較すれば明らかだ。

“借入信用コストとシェール・オイル&ガス関連企業株価の推移"

まさに、環境が変われば、栄えた企業が滅び、新たな企業が浮かび上がる、ということだ。

今回のまとめ
金融政策が変更され、実質的に引き締め方向に環境が変化すると、“借金天国”環境に依存していたビジネスの破たんが見られる。

第5回「利上げを正当化できる経済なのか?(自動車)」は、2019年1月11日(金)に掲載予定です。
2015年12月以降、利上げが続いている米国だが、足元の経済情勢は今後の利上げを正当化できるのだろうか・・・

  • 借入信用コスト:銀行借入などによって調達した資金にかかるコスト。借入を行う主体の信用リスクに応じて変動する。当コラムでは北米の非投資適格企業100社の借入信用コストを指数化(Markit CDX North America High Yield Index)したものを使用。

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執筆者プロフィール

春山 昇華(はるやま しょうか)
1978年京都大学法学部卒。87年から英国・ロンドンにて株式と債券による国際分散投資に従事。オフショア登録ファンドでトップの成績を記録。帰国後は、国内系・外資系の投資顧問会社などで年金基金の運用に従事したのち、投信の立ち上げと内外株式のCIOなど多彩な活躍。
個人投資家による投資立国の必要性を感じ、投資知識の普及を目指して96年よりネットで情報を提供する。現在は個人投資家を対象に春山ゼミを主宰するとともに、企業向けのアドバイスも行っている。
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