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どうなる金利と株 リーマンショック後の30年を読む

第6回 利上げを正当化できる経済なのか?(住宅)

2019年01月18日

景気回復の先頭ランナーは米国であり、FRB(米連邦準備理事会)は2014年夏から“特別措置”(=量的金融緩和、異次元金融緩和)の縮小という金融政策の変更に着手し、2015年12月からは利上げを続けている。

米国経済が利上げを正当化できるかの判定には、「自動車」、「住宅」、「雇用」の三点の確認が重要だが、前回の「自動車」に続いて、今回は二つ目の「住宅」について確認する。

「住宅」はリーマンショック前までのバブルの張本人だ。
中古住宅を買って手直しをして、それを高く売って利ザヤを稼ぐのは不動産業者の仕事だ。しかし、それを一般個人も手を出して住まない家を買ったり、自宅の値上がりを背景に背伸びして高価格の住宅に住み替えたりとバブルに踊った。

米国の住宅販売戸数と住宅価格指数の推移

バブル期(2005年~2006年ごろ)は新築住宅も中古住宅も異常なほどの販売戸数を記録し、住宅価格は右肩上がりであった。

しかし、バブルが崩壊すると住宅販売戸数も住宅価格も大幅に低下した。
バブル期の最高値とその後の最低値は以下の通りだ。

住宅販売戸数と住宅価格指数の最高値・最低値・変化率

ただ、最低値をつけた後の「住宅」の回復は順調だった。バブル期とは異なり、ゆっくりと回復した。そして、2018年春ごろまで順調に回復した。所得の伸びに支えられて、住宅価格はじりじりと上昇を続けたのだ。

しかし、2018年夏ごろから様相が変わった。
住宅の購入者から見れば、住宅価格が上昇すると、その上昇分だけ住宅購入の支払額は増える。さらに、利上げ局面では金利も上昇するので、住宅ローンの利子支払いも増える。そのため、住宅本体と住宅ローンの利子をあわせた総支払額の上昇速度は価格上昇を上回るのだ。そして、住宅購入をためらう消費者が増えてきたのだ。
そのためらいを反映して、2018年夏以降の住宅販売戸数は減少傾向となり、黄色信号が点滅し始めた。その減少傾向が統計の数字として表れた秋ごろから、市場関係者の間でも黄色信号が認識され始めたのだ。

今回のまとめ
「住宅」はバブル期とは異なり、ゆっくりと回復した。
2018年春ごろまでは順調に回復していたが、夏以降は住宅販売戸数が減少傾向となり、秋には市場関係者にも黄色信号が認識され始めた。
住宅販売戸数の黄色信号の点滅はFRBに利上げのペースを再考させる要素である。米国経済は「住宅」という観点からは利上げの正当化は難しそうだ。

第7回「利上げを正当化できる経済なのか?(雇用)」は、1月25日(金)に掲載予定です。
前回と今回で「自動車」、「住宅」の状況を見て米国の利上げの正当性を確認したが、最後の「雇用」の観点では今後の利上げを正当化できるのだろうか・・・

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執筆者プロフィール

春山 昇華(はるやま しょうか)
1978年京都大学法学部卒。87年から英国・ロンドンにて株式と債券による国際分散投資に従事。オフショア登録ファンドでトップの成績を記録。帰国後は、国内系・外資系の投資顧問会社などで年金基金の運用に従事したのち、投信の立ち上げと内外株式のCIOなど多彩な活躍。
個人投資家による投資立国の必要性を感じ、投資知識の普及を目指して96年よりネットで情報を提供する。現在は個人投資家を対象に春山ゼミを主宰するとともに、企業向けのアドバイスも行っている。
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