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春山昇華の豊健活教室

どうなる金利と株 リーマンショック後の30年を読む

第8回 パウエルFRBの利上げの論理

2019年02月01日

第5回から第7回の3回に分けて、米国の「自動車」、「住宅」、「雇用」の状況をチェックして、米国経済の状況が今後の利上げを正当化できるかということを確認してきた。
「自動車」と「雇用」の観点では、今後も利上げが継続されることを示唆する状況であった。
一方、「住宅」の観点では、「住宅価格の上昇」と「住宅ローン金利の上昇」の影響で「総支払額が急増」していた。そのため、購入を躊躇する住宅購入検討者が増えており、追加利上げを中断する要因となることを示唆していた。

では、利上げを決めるFRB(米連邦準備理事会)はどのように考えているのだろうか。
2018年8月に、毎年恒例の世界各国の中央銀行総裁らが参加するシンポジウムがジャクソンホールで開催された。FRB議長に選出されて初めて参加するパウエル議長の発言に注目が集まった。

そこでは、パウエル議長の利上げの判断要素には、「雇用の最大化」と「物価の安定」というFRBの使命に加えて、もうひとつあることが示された。
その要素とは、「金融バブルリスクの抑制」である。つまりは、物価が安定してインフレの心配が無い場合でも、金融バブルのリスクを抑えるために利上げを実施するというものだ。

投資家は、その言葉に戸惑った。
1. インフレの心配が無いならば、利上げはすべきではない
2. バブルであるのか否かは、バブルが終わってみなければわからない
3. バブル懸念で利上げをすれば、株式市場で儲けられなくなるから嫌だ
パウエル議長の利上げの考え方に対して、上記のような反応が大勢を占めている。

そして、金利のさらなる上昇を懸念して、株式市場は2018年10月には大幅な調整を演じた。

日米の株価推移

FRBは2015年12月に利上げを開始して以降、2018年は最も多い4回の利上げを実施した。
では、2019年はどのようなペースで利上げが実施されるのだろうか。

米国の政策金利と年間利上げ回数

前回までに確認した「自動車」、「住宅」、「雇用」の三点の状況を踏まえれば、2018年秋ごろから「住宅」の黄色信号が認識されてきたので、本来であれば、2019年の利上げペースは2018年よりも緩やかになると思われる。

しかし、パウエル議長の「物価が安定してインフレの心配が無い場合でも、金融バブルのリスクを抑えるために利上げを実施する」という考え方は変わらないだろう。

その考え方の背景は、今バブルになって、もしそれが崩壊して対策を講じる必要が出てきたとき、足元の非常に低い金利水準では、金利を引き下げるという対策の効果が弱くなってしまうというものである。つまり、金利の“引き下げ余地が小さい”足元の状況ではバブルを起こしてはならない、というのがパウエル議長の考えだ。

FRBと投資家の利上げをめぐる綱引きは2019年も続きそうだ。

今回のまとめ
パウエル議長の利上げの判断要素には、「雇用の最大化」と「物価の安定」というFRBの使命に加えて、「金融バブルリスクの抑制」がある。
「物価が安定してインフレの心配が無い場合でも、金融バブルのリスクを抑えるために利上げを実施する」ということだ。

第9回「黒田日銀の実質利上げ」は、2月8日(金)に掲載予定です。
2018年7月31日、黒田日銀もついに利上げをした・・・

  • 米国ワイオミング州のジャクソンホールで、世界各国の中央銀行総裁、政治家、経済学者らが参加する経済政策シンポジウムが毎年8月に開催される。世界経済や金融政策について議論が交わされることから、市場関係者からの注目度は高い。通称、「ジャクソンホール会議」。2018年は8月23日から25日まで開催された。
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執筆者プロフィール

春山 昇華(はるやま しょうか)
1978年京都大学法学部卒。87年から英国・ロンドンにて株式と債券による国際分散投資に従事。オフショア登録ファンドでトップの成績を記録。帰国後は、国内系・外資系の投資顧問会社などで年金基金の運用に従事したのち、投信の立ち上げと内外株式のCIOなど多彩な活躍。
個人投資家による投資立国の必要性を感じ、投資知識の普及を目指して96年よりネットで情報を提供する。現在は個人投資家を対象に春山ゼミを主宰するとともに、企業向けのアドバイスも行っている。
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