三井住友トラスト・アセットマネジメント

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春山昇華の豊健活教室

どうなる金利と株 リーマンショック後の30年を読む

第17回 企業は天国をエンジョイし、強欲へ

2019年04月05日

前回第16回で述べたように、ポスト冷戦の最大の受益者として企業は我が世の春を謳歌した。企業の利益は大幅に増加し、それを反映して株式相場も上昇した。米国の株式指数であるS&P500指数は、1982年7月の大底から2017年7月の35年で、25倍以上にも膨張した。S&P500の推移

このような経済的な繁栄は、社会全体の豊かさを加速させる好循環を生み出すと期待された。しかし、それは実現しなかった

裕福になった企業経営者は、労働者を企業経営に必要なコストの三要素「人、物、金」の一つに過ぎないと考えるようになり、彼らに十分な見返りを与えず、また、能力の低い「取るに足らない存在」だと見下すようになっていった。

一方、労働者も企業経営者の後に続き、創意工夫と向上心で頑張ると期待されていたが、成功に向けた投資をはじめとした情報を得る努力を放棄し、結果の豊かさだけを求める人々が多くなった。

結果、創意工夫と向上心で頑張り成功した人々、いわゆる勝ち組グループと頑張らない人々、結果的に負け組グループとの経済、金融に関する情報の格差が大きくなった。

企業などの勝ち組は図に乗って、情報弱者となった負け組が判断ミスをするのを黙って見過ごしたり、それを利用したりするようになり、強欲資本主義”になっていった。

情報弱者は十分な投資情報を得ることや、契約書を十分に確認せずに「簡単に儲かる話」に乗ってしまい、ITバブルや金融不動産・資源エネルギーバブルのピーク時に高値で投資をして大損をする、などという事態を生んだ。

不利益を被った弱者の憤懣(ふんまん)は、金融不動産・資源エネルギーバブルの処理に際して「不正や不道徳な商行為」によって生じた巨額の企業の損失を国民の税金で帳消しにする政府の決定を知り、堪忍袋の緒が切れてしまった。

自己責任といいつつ、一方ではモラルを欠いた行為で生じた損失は税金で帳消しにする、それは社会のルールに反する。モラルを欠いた企業に対して信賞必罰は厳重に課されるべきであり、弱者の税金を使うべきではない、という怒りの感情が金融不動産・資源エネルギーバブル崩壊を起点に拡大し、今日まで続いている。民主主義が資本主義の申し子である企業に向かって宣戦布告をした格好だ。

一方、企業が消えれば雇用も消え、経済も破綻してしまうのだから、モラル違反だからと言って企業に対して厳罰を科すべきではない、という「経済合理性&効率性」に立脚した本主義の論調は健在である。

リーマンショック後に、民主主義と資本主義の矛盾が噴出し、どんどん大きくなっているのだ。

今回のまとめ
ポスト冷戦で企業は我が世の春を謳歌し株式市場も上昇したが、社会全体の豊かさを加速させる好循環にはならなかった。
モラルを欠いた企業の損失を税金で帳消しにするという決定に際し、情報弱者の憤慨は爆発し今日まで続いている。

第18回「リーマンショックと中国の戸惑い」は、4月12日(金)に掲載予定です。
WTO加盟後の中国は米国を先生として近代化に邁進してきたが・・・

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執筆者プロフィール

春山 昇華(はるやま しょうか)
1978年京都大学法学部卒。87年から英国・ロンドンにて株式と債券による国際分散投資に従事。オフショア登録ファンドでトップの成績を記録。帰国後は、国内系・外資系の投資顧問会社などで年金基金の運用に従事したのち、投信の立ち上げと内外株式のCIOなど多彩な活躍。
個人投資家による投資立国の必要性を感じ、投資知識の普及を目指して96年よりネットで情報を提供する。現在は個人投資家を対象に春山ゼミを主宰するとともに、企業向けのアドバイスも行っている。
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