三井住友トラスト・アセットマネジメント

三井住友トラスト・グループ

春山昇華の豊健活教室

どうなる金利と株 リーマンショック後の30年を読む

第18回 リーマンショックと中国の戸惑い

2019年04月12日

共産党幹部の子弟の多くは米国などに海外留学し、しかも永住権の取得にも熱心だ。

特に元国家主席江沢民は米国にご執心で子息に対して、グリーンカードを取得するまでは帰国するなと命じたほどである。中国の政治リーダー

10年に及ぶ文化大革命(1966年~1976年)は、政治の混乱と経済の破壊、そして多くの人的損失を招く時代となった。その後、鄧小平以降に始まった「建設の時代」がその体制とともに現在まで続いている。
(1)中国の政治経済の活力は、改革開放政策の加速によってのみ生まれる
(2)国民生活の改善と生産性の向上が社会の安定と共産党一党独裁の正当性維持に不可欠
これらが鄧小平以降の江沢民、胡錦涛、習近平に共通する政治的な認識だ。
特に、2001年WTO加盟後の中国は「国民生活の改善と生産性の向上」のために、米国経済モデル(not米国政治モデル)を師として近代化に邁進してきた。

米国は、リーマンショックから10年たった今でも、露呈した社会の矛盾(第17回で解説した負け組の憤懣)を解消し発展する、新経済モデルを今でも示せないままでいる。

習近平は、このまま米国経済モデルに追従して良いのか、このまま追随すれば中国もリーマンショック級の経済危機に見舞われるのではないか、そんな迷いと不安の中、不正撲滅&綱紀粛正に軸足を置く政策運営を進めた。

そして、2018年3月の大きな転換点が訪れた。
習近平が国家主席に就任して以来、資源配分における市場の重要性を重視してきたが、2018年3月の全人代では市場も政治も同等に重要であると、市場の重要性が弱まった。
市場だけを優先する米国経済モデルの欠点を克服する手法を模索するために、少しスピード・ダウンをして様子見をしたい、習近平はそういう政治的な決断をしたのだ。
それは、先生となるアメリカはリーマンショックで大きく崩れ、10年経過後も、「今後どうするべきか」は教えてくれないからである。

実際、2018年3月開催の全人代の数カ月後に具体的に出てきた政策をみると、マンション開発に際しては、庶民が購入できる価格帯の分譲を増やしたり、企業に対して社宅の復活を促したり、労働者に配慮した政策を導入し始めている。

今回のまとめ
WTO加盟後の中国は米国を師として近代化に邁進してきた。
先生とした米国経済モデルがリーマンショックで大きく崩れて10年が経過したが、「今後はどうすべきか」という新モデルを先生は教えてくれないので、様子見の政策に切り替えた。

第19回「経済重視へと舵を切る中国」は、4月19日(金)に掲載予定です。
「腐敗した者はハエも虎(大物)も捕らえる」不正撲滅&綱紀粛正一辺倒と思われた中国が・・・

  • 当資料は春山昇華氏の個人の見解であり、三井住友トラスト・アセットマネジメントの見解を示すものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
  • 当資料の内容は掲載時点における市場環境やこれに関する春山昇華氏の見解や予測を示すものであり、春山昇華氏および三井住友トラスト・アセットマネジメントがその正確性、完全性を保証するものではありません。

執筆者プロフィール

春山 昇華(はるやま しょうか)
1978年京都大学法学部卒。87年から英国・ロンドンにて株式と債券による国際分散投資に従事。オフショア登録ファンドでトップの成績を記録。帰国後は、国内系・外資系の投資顧問会社などで年金基金の運用に従事したのち、投信の立ち上げと内外株式のCIOなど多彩な活躍。
個人投資家による投資立国の必要性を感じ、投資知識の普及を目指して96年よりネットで情報を提供する。現在は個人投資家を対象に春山ゼミを主宰するとともに、企業向けのアドバイスも行っている。
  • 当資料は三井住友トラスト・アセットマネジメントが作成したものであり、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
  • ご購入のお申込みの際は最新の投資信託説明書(交付目論見書)の内容を必ずご確認のうえ、ご自身でご判断ください。
  • 投資信託は値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替変動リスクを伴います。)に投資しますので基準価額は変動します。したがって、投資元本や利回りが保証されるものではありません。ファンドの運用による損益は全て投資者の皆様に帰属します。
  • 投資信託は預貯金や保険契約とは異なり預金保険機構および保険契約者保護機構等の保護の対象ではありません。また、証券会社以外でご購入いただいた場合は、投資者保護基金の保護の対象ではありません。
  • 当資料は信頼できると判断した各種情報等に基づき作成していますが、その正確性、完全性を保証するものではありません。また、今後予告なく変更される場合があります。
  • 当資料中の図表、数値、その他データについては、過去のデータに基づき作成したものであり、将来の成果を示唆あるいは保証するものではありません。また、将来の市場環境の変動等により運用方針等が変更される場合があります。
  • 当資料で使用している各指数に関する著作権等の知的財産権、その他の一切の権利はそれぞれの指数の開発元もしくは公表元に帰属します。

お気に入りファンド

現在ご登録いただいているファンドはありません。
お気に入りファンドの登録方法

  • 動画コーナー