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春山昇華の豊健活教室

どうなる金利と株 リーマンショック後の30年を読む

第24回 お金の貸し借りと金融政策

2019年05月31日

景気が好転して借入希望者が増えると、銀行のローンの実行金額はどんどん増える。
当初は余剰資金で貸し出しに対応するが、どこかで手持ちの資金が枯渇する。

その時の銀行の対応は二通り考えられるが、どちらが正しいだろうか。
(1)他行を紹介する
(2)他行からお金を借りて、自分のところでローンを貸し出す

正解は(2)、銀行は他行へ顧客を紹介はしない。
だから、自分のところでお金を貸し出すために、資金が不足気味の銀行は、お金に余裕のある銀行へ資金を借りる。つまり、お金に余裕のある銀行と不足気味の銀行の間で資金の貸し借りが発生する。

このような民間商業銀行間の貸し借りの金利を銀行間金利またはインターバンク・レートと呼ぶ。国際金融市場ではインターバンク・レートのうち、LIBOR(ロンドン銀行間取引金利)が一般的によく使われる。

 【LIBOR(1カ月・3カ月)とFFレートの推移】



1カ月LIBOR、3カ月LIBORとFFレート(米国の中央銀行が決定する金利)を見てみると、2015年の半ば以降、銀行間金利は景気の好転による資金需要の増加を反映してジリジリと上昇を始めて今日に至っている。

銀行は、お金を借りたい顧客の動向を見ながら、さらに先行きの資金需要の動向を予測しつつ、資金を調達する戦略を考える。企業や景気の状態を観察しながら、資金を確保しておくか否かを決定する。
資金を確保したい銀行が増加すれば、資金需要は高まるので、インターバンク・レートは上昇することになる。

前回コラムで解説したように、中央銀行は民間銀行に対して貸出状況を報告させて、データを細かく収集している。経済の実態の姿(=資金需要の増減の様子)を反映したデータを誰よりも先に入手して、現在の経済を分析し、金融政策を決定しているのだ。少しでも変わった点があれば、随時ヒアリングを行っている。
つまり中央銀行は、将来の経済を予想するというより経済の現状に最も近くに寄り添いながら金融政策を決定する、というのが現実に即しているだろう。

今回示した1カ月LIBORや3カ月LIBORのような、1年未満の金利は短期金利と呼ばれる。一方5年国債、10年国債、30年国債などの1年以上の金利は、長期金利と呼ばれる。この長期金利の利回りは、これまで説明してきた銀行間金利とは別世界で動いている。それについては次回とする。

今回のまとめ
貸し出しが増えると余剰資金が枯渇するので、余剰資金を持つ銀行から資金を融通してもらう。その貸し借りの金利をインターバンク・レートと呼ぶ。 融資する資金を確保しようとする銀行が増加すれば、インターバンク・レートは上昇する。その様子を観察しながら中央銀行は金融政策を決定する。

第25回「債券投資家という怪物」は、6月7日(金)に掲載予定です。
長期債の金利(価格)は、どう形成されているのだろう・・・

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執筆者プロフィール

春山 昇華(はるやま しょうか)
1978年京都大学法学部卒。87年から英国・ロンドンにて株式と債券による国際分散投資に従事。オフショア登録ファンドでトップの成績を記録。帰国後は、国内系・外資系の投資顧問会社などで年金基金の運用に従事したのち、投信の立ち上げと内外株式のCIOなど多彩な活躍。
個人投資家による投資立国の必要性を感じ、投資知識の普及を目指して96年よりネットで情報を提供する。現在は個人投資家を対象に春山ゼミを主宰するとともに、企業向けのアドバイスも行っている。
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