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春山昇華の豊健活教室

どうなる金利と株 リーマンショック後の30年を読む

第25回 債券投資家という怪物

2019年06月07日

5年、10年という債券の長期金利形成(価格の決まり方)は、前回説明した銀行間金利とは別世界で動いている。

主に長期金利に投資する債券投資の世界だが、株式投資家の数と彼らが扱う金額と比較すれば、券投資家の数はかなり少ないが、扱う金額ははるかに巨額だという特徴がある。

報道によると2017年末時点で投資される市場規模は、株式約85兆ドルに対して債券約170兆ドルと言われている。概ね「株式1 : 債券2」という規模だ。

債券担当者の人数は、株式担当者の3分の1以下、という陣営が機関投資家や銀行証券などの金融機関では、世界共通で一般的といわれている。債券担当者一人が扱う金額は単純計算で、株式と比べ6倍ということになる。

 【株式と債券の市場規模比較】


さらに、非上場株式、私募債券を加え、株式デリバティブや債券デリバティブなども加味すれば、“株式世界”の規模と“債券世界”の規模格差はさらに拡大する。“債券世界”に債券に近い貸付も加えれば、「株式関連資産10 : 債券関連資産90」以上の格差になると春山は推定している。

“債券世界”のもう一つの特徴は、個人投資家の存在が皆無に等しく、参加者の99%が機関投資家ということだ。
機関投資家は証券会社の債券部門に所属する債券ディーラーに直接電話して相対で取引をする。証券会社や銀行の支店の担当者はノータッチだ。日本だと東京駅半径3kmの中にいる数百人程度の優秀なエリートが日本全体の債券売買(債券トレーディングやボンド・トレーディングとも呼ばれる)の90%以上を行っている。この構図は世界共通だ。
狭い範囲、少ない人数、巨額の売買という性格を持っているのが債券売買の世界だ。

しかも、債券売買では、例えば日本国債だと昔なら、証券会社に真剣に相手にしてもらうには最低でも10億円単位の売買が必要であった。
加えて、取引所で集中売買され誰でも価格を知ることができる株式と異なり、債券は99%が非上場であり、売買価格は投資家と証券会社の二者しか知らない。
巨額の売買だが価格の透明性が低いのが債券投資の世界だ。

このように、多くの個人投資家が参加する株式、為替、商品や、多数の個人や企業が関与する銀行ローンの世界とは異なった性格を持つのが、債券の長期金利(価格)形成のメカニズムなのだ。

今回のまとめ
債券関連資産の市場規模は株式関連資産よりも圧倒的に巨大だ。
債券の世界では狭い範囲にいる少人数が巨額の売買をしている。
99%の債券は非上場であり価格の透明性が低い。

第26回「金利上昇時の株価の反応(1)」は、6月14日(金)に掲載予定です。
金利が上昇すると株価が下がると言われるが・・・

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執筆者プロフィール

春山 昇華(はるやま しょうか)
1978年京都大学法学部卒。87年から英国・ロンドンにて株式と債券による国際分散投資に従事。オフショア登録ファンドでトップの成績を記録。帰国後は、国内系・外資系の投資顧問会社などで年金基金の運用に従事したのち、投信の立ち上げと内外株式のCIOなど多彩な活躍。
個人投資家による投資立国の必要性を感じ、投資知識の普及を目指して96年よりネットで情報を提供する。現在は個人投資家を対象に春山ゼミを主宰するとともに、企業向けのアドバイスも行っている。
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