三井住友トラスト・アセットマネジメント
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債券ESGインテグレーション

クレジット投資の事例

社債権者は議決権は有しないものの、直接の資金提供者として、企業経営にとって重要な位置付けにあると考えています。従って、社債権者としては、投資先企業に対して中長期的な成長やダウンサイドリスクを軽減する施策を求める権利がある一方で、社会的貢献を求める責任もあると考えています。
当社はクレジットアナリストと株式アナリストが協業することを特徴としています。投資先企業や社会のサステナビリティの向上、企業価値の増大という目的は両者同一です。同じ投資先企業に対して両者が異なる観点から調査やエンゲージメントを行うことで、活動の付加価値化、ひいては企業のESG課題解決の後押し強化につなげています。
投資へのESGの考慮については、信用力評価やスプレッド評価において行います。





債券ESG(前半)


ソブリンESGインテグレーション

持続可能な国の債券に投資することは、将来のリスク軽減や安定的なリターンを追求する手段となる可能性があり、国債(以下、ソブリン)の評価においても、ESGを考慮した投資の重要性は高いと考えます。また、ロシアのウクライナ侵攻といった国際社会の秩序を揺るがす事態が発生したことも、ソブリン投資においてESGの要素を考慮することの重要さを再認識させました。当社でも、お客さまのこうしたニーズにお応えすることを目的に、ソブリンのESG評価をインテグレーションしたファンドをご提供しています。

ソブリンESGスコア

ソブリン投資においても、基本的に事業債投資(クレジット)と同様のプロセスでESG評価をインテグレーションしていますが、定量判断として自社ソブリンESGスコアを投資意思決定に反映しています。ソブリンESGスコアは当社ESGマテリアリティの項目に基づき、世界銀行など公的機関が公表する各種データを用いて細分化しスコア化しています。採用する指標はESGマテリアリティを反映するのみならず、 CDSスプレッドや信用格付と比較的高い相関関係が確認されたものに限定するという特徴を有しています。その結果として、ESGスコアが高い国は概ね信用格付が高い傾向があります。
また、ソブリンESGスコアは定量データをベースとしていますが、定量で捉えきれない事象が生じた場合(データ反映までに時間がかかる場合など)、定性判断を加味しています。例えば2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻時は、採用する定量データがイベントを迅速に織り込めないため、定性判断を加味してスコアを引き下げました。

事例:投資プロダクトへのESGインテグレーション

当社のソブリンリスク考慮型・高インカム入替戦略は、財政健全度と期待リターンの高いグローバル国債を対象に、リスクを一定水準に抑制しつつ、リターンを最大化することにより、安定的な収益獲得を追求するプロダクトです。投資プロセスの中で財政健全度を測るSMTAMカントリーリスク・スコアに応じて国別の投資上限比率を決定していますが、同カントリーリスク・スコアにソブリンESGスコアを組み入れてESG評価をしています。
投資プロセスにおけるESG評価については、特にガバナンスの問題が将来的な財政悪化につながるかを含めた信用力評価を行い、クレジットスプレッドへの織り込みの観点からボトムアップによる銘柄選択に反映し、ダウンサイドリスクの抑制につなげています。また、発行体の環境問題への取り組みについても中長期的な信用力に反映される要素と認識し、ボトムアップによる銘柄選択に反映しています。 加えて本戦略においては、ESG各項目の総合的な評価を投資上限比率の設定に反映するとともに、ファンドの参考指標であるインデックス指数対比で高いESG特性を維持することにより、中長期的なリターン向上およびダウンサイドリスクの抑制につなげています。

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