三井住友トラスト・アセットマネジメント
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債券運用におけるESGインテグレーション

債券運用におけるESGインテグレーションは、持続可能な投資戦略の重要な要素であると当社は考えています。ESGインテグレーションは、長期的なリスク管理を強化し、社会的責任を果たすことを可能とします。特に、コーポレートガバナンスのリスクは債券の価値に直接影響を及ぼす可能性があり、これらの要因を考慮することは投資の成果を最大化するうえで不可欠です。また、債券運用におけるESGインテグレーションは、企業や政府といった発行体の社会的な価値創造にも寄与し、企業のブランド価値や市場での競争力を高めることにもつながります。さらに、発行体の可視性と情報開示の向上を促す効果もあり、投資家と発行体の間の信頼関係強化にも期待できます。このような債券運用のアプローチは、グリーンボンドやサステナビリティボンドなど、特定の環境や社会的プロジェクトに資金を提供する新しい金融商品の発展にも寄与しています。債券投資にとって最も重要なのは発行体の信用力に基づく上乗せ金利(スプレッド)ですが、これらの債券は投資家にとって魅力的な選択肢となるものであり、発行体にとっては持続可能な開発目標(SDGs)に貢献するための資金調達手段として機能しています。国際的な投資基準や規制の進展とも相まって、債券市場におけるESGの重要性は一層高まっています。

社債投資におけるESGインテグレーション

社債権者は議決権は有しないものの、直接の資金提供者として、企業経営にとって重要な位置付けにあると考えています。従って、社債権者としては、投資先企業に対して中長期的な成長やダウンサイドリスクを軽減する施策を求める権利がある一方で、社会的貢献を求める責任もあると考えています。当社ではクレジットアナリストが株式アナリストやスチュワードシップ推進部担当者と協業することを特徴としています。投資先企業や社会のサステナビリティの向上、企業価値の増大という目的は同一です。同じ投資先企業に対して両者が異なる観点から調査やエンゲージメントを行うことで、活動の付加価値化、ひいては企業のESG課題解決の後押し強化につなげています。投資へのESGの考慮については、信用力評価やスプレッド評価において行います。






国債投資におけるESGインテグレーション

持続可能な国の債券に投資することは、将来のリスク軽減や安定的なリターンを追求する手段となる可能性があり、国債(以下、ソブリン)の評価においても、ESGを考慮した投資の重要性は高いと考えます。また、ロシアのウクライナ侵攻といった国際社会の秩序を揺るがす事態が発生したことも、ソブリン投資においてESGの要素を考慮することの重要さを再認識させました。当社でも、 お客さまのこうしたニーズにお応えすることを目的に、ソブリンのESG評価をインテグレーションしたファンドをご提供しています。



ソブリンESGスコア

ソブリン投資においても、基本的に事業債投資(クレジット)と同様のプロセスでESG評価をインテグレーションしていますが、定量判断として自社ソブリンESGスコアを投資意思決定に反映しています。ソブリンESGスコアは当社ESGマテリアリティの項目に基づき、世界銀行など公的機関が公表する各種データを用いて細分化しスコア化しています。採用する指標はESGマテリアリティを反映するのみならず、CDSスプレッドや信用格付と比較的高い相関関係が確認されたものに限定するという特徴を有しています。その結果として、ESGスコアが高い国は概ね信用格付が高い傾向があります。また、ソブリンESGスコアは定量データをベースとしていますが、定量で捉えきれない事象が生じた場合(データ反映までに時間がかかる場合など)、定性判断を加味しています。例えば2022年2月、ロシアによるウクライナ侵攻時は、採用する定量データがイベントを迅速に織り込めないため、定性判断を加味してスコアを引き下げました。

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