ウィークリーレポート・マンスリーレポート
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商業や交易は「物々交換」から始まったと言われている。
個人やグループの余剰物は将来消費のために保存されるが、時間の経過にともない劣化し、棄損するので廃棄せざるをえない。
それらの余剰物が物々交換に活用されて、「廃棄されるモノから交換される商品」に変身した瞬間から人類の経済効率性(資源の適正配分)が加速を始めた。
とはいえ初期の交換にはリスクが沢山あった。
初期の物々交換では相手と直接は対面しなかった。見知らぬ相手、他の種族・グループは仲間ではない。交換商品と一緒にいて対面したら彼らに殺されるかもしれない。対面しなければ、交換品を持ち逃げされるリスクはあったが、殺されるよりはましだった。
だから、商品を置いたら一旦は退いて物陰で推移を見守る。相手が交換物を置かずに持ち去るリスク(=相手を信用するというリスクテイク)が初期の物々交換には存在したのだ。
とはいえ、一回はズルをして商品を持ち去ることは可能だが、ズルをすれば信用を失うので、その後は交換に参加できなくなる。ルールを順守する方が長期的な利益が大きいと判断することでフェアな交換が拡大維持されていった。
ちなみに、この古典的な物々交換は、8世紀ごろまでアフリカのニジェール川流域のガーナ王国において、塩と金の交換に際して行われ続けていた。
初期の物々交換が始まった瞬間から、個人の信用スコアに関する原始的な相互評価が始まったと言える。交換(=商行為・ビジネス)と信用スコアの歴史がスタートしたのだ。
初期の物々交換は等価交換(例:魚10匹=毛皮1枚)だった。交換するモノとモノの価値の差額を上手に処理する方法を発見していなかったのだ。差分は廃棄するしかなかった。
モノは保存が困難であり、時間の経過に従って棄損劣化する。差額部分の廃棄はもったいない。そして人間は知恵と工夫で、その問題を解決した。
それは次回のお話
※当資料は春山昇華氏の個人の見解であり、三井住友トラスト・アセットマネジメントの見解を示すものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
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