ウィークリーレポート・マンスリーレポート
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投資家を初心者、中級者、上級者とクラス分けすることが多いですが、この3者の差は何でしょう?
株式市場は万人に平等です。初心者用の株式市場というものは世界中どこにも存在しません。万人が同じ相手(=市場)に向き合うのが株式投資です。
ですから、「初心者から上級者まで、市場と向き合う投資の基本動作は同じ」なのです。
そして、「第3回 正しく努力すれば上達する」で述べたように・・・・・
投資の基本動作は簡単な確認作業の繰り返しです。必要な公開情報を見聞きして、「それが投資的にOKなのか、NOなのか」を毎日チェックする作業です。簡単すぎて飽きてしまうので継続する強い意思を必要とします。
・・・・つまり、意思に関する部分が初心者、中級者、上級者の分水嶺になっているのです。
その意思に関する部分の差を具体的に書けば以下のようになります。
初心者・・・・
毎日のコツコツとした簡単な作業の積み重ねが、時間とともにビッグデータとなり投資判断の制度を向上させることを頭では十分に理解している。
しかし、やったとしても1~2週間では効果を得られないので、やる気を維持できない。ついつい三日坊主になってしまう。
簡単な作業だけど毎日実行するのは面倒なのでやめてしまうのが初心者なのです。
中級者・・・
簡単な作業だけど毎日実行するは実に面倒。でもこれは投資に必要な作業だし、やらなきゃ儲からない。だから何とか頑張って継続します。その結果、並み以上の投資成果を上げていきます。嫌々だけど基本動作をやっているのが中級者です。
継続する意思が弱く、三日坊主で投資の基本動作を継続しないのが初心者。強い意思を持って継続しているのが中級者ということです。中級者は意思が強く、初心者は弱いのです。
上級者・・・・
こんな簡単なことを毎日やるだけで儲かっちゃうのだから、やるのが楽しくなる!
しかも簡単で時間もかからないから、投資以外のことをする時間的余裕も持てる。何故みんなやらないのだろう、不思議だ、と思っているのが上級者です。
面倒だけど嫌々やっているのが中級者ですが、上級者は楽しみを感じながらやっているのです。同じことをやるにしても、嫌々やるのと楽しみながらやるのでは、処理のスピードと正確性に差が出ます。ここに中級者と上級者の差があるのです。
上記が春山の約40年間の株式投資生活で認識した「初心者、中級者、上級者を区分している要因」ですが、これを端的に表現すれば、初心者と中級所の分水嶺は「基本動作の実行継続の差(=行動力の差)」ですが、中級者と上級者の分水嶺は「基本動作を実行する際の気持ちの持ち方の差(=感情の差)」と言えます。投資は上手になればなるほど精神面のウェイトが増す性格を持っています。やることは全員同じなのですから、心の要因って本当に大事ですね。
「そもそも投資の勉強が必要ですか?」に関しては、「第3回 正しく努力すれば上達する」で書いたことですが・・・・
ピアノ、サッカー、テニス、絵画彫刻、和歌俳句、囲碁将棋、そろばん、全てにおいて上達するためには練習が必要です。投資も同じです。同じどころか、多額のお金を投じるのですから、一定の勉強をしてから本番の投資を始めるべき、という事なのです。
特に株式市場などの投資に関しては、思い立ったからと言って明日から誰でも上手に運用ができるような甘い世界ではありません。
株式市場は、プロもアマも、若者も高齢者も、男性も女性も、全員が同じ土俵で、待ったなし・ハンディなし、という条件で大切なお金を投じるという厳しい真剣勝負の場です。だからこそ事前に必要最小限の知識やスキルを習得しておくべきだと春山は認識しています。
では、投資の勉強をせずに実戦に参加すると、どうなるのでしょうか?
多くの投資家は思ったまま、感じたままに行動します。自分の気持ちに素直に行動するのが普通の人間の行動特性です。
そして、多くの人は株が上がると嬉しくなってもっと上がると期待を持ちます。一方、株が下がると不安になってもっと下がると心配します。その気持ちに素直に行動してしまうと、高いときに買って安いときに売ってしまいます。
このような「気持ちに素直な条件反射的な売買行動」を積み重ねると、あまり儲かりません。むしろ損をする可能性が高いと思います。期待や心配をしている自分を「横から観察する第三者の目」を持つことが株式投資では必要になります。
その第三者の目を持つにはどうしたらよいのでしょう?
一にも二にも平常心を維持することが、冷静で客観的な第三者の目を持つための近道です。株式投資は、心技体の総合力が物を言います。心身が健康な状態でなければ、身に着けたスキルを十二分には発揮できません。そして心と体は密接につながっています。平常心を維持しながら相場と向き合う。
その平常心をどう維持するか、というマインド・コントロール能力も広い意味では株式投資に必要です。特に上級者になるに比例してマインド・コントロールは重要性を増します。
投資の勉強をすることは分かったけども、初心者は何から始めたらよいのだろう?・・・・・
それは次回の話
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