当社は「責任ある機関投資家」として、エンゲージメント、議決権行使、投資の意思決定におけるESGの考慮を三つの柱としてスチュワードシップ活動を推進しています。
投資先企業の企業価値向上に資するスチュワードシップ活動を行うことを通じ、お客さまからお預かりしている資産の中長期的な投資リターンの最大化を目指します。
三つの柱の基盤となるのがSMTAMのESGマテリアリティであり、全ての活動にこれを考慮します。そして、その全ての基盤がフィデューシャリー・デューティーの実践です。
当社は、スチュワードシップ活動に関する利益相反の適切な管理がフィデューシャリー・デューティーの向上につながると考え、利益相反管理を適切に行っております。
当社のスチュワードシップ活動は、スチュワードシップ推進部が主体となり経験豊富なリサーチ運用部のアナリストと協働して行います。国内では独自の活動に加え「一般社団法人機関投資家協働対話フォーラム(IICEF)」のプラットフォームを活用した協働エンゲージメントを行っています。
グローバルベースでは、海外企業に対する東京からの現地訪問や、ニューヨークやロンドン拠点からの独自のエンゲージメントに加え、グローバル・イニシアチブを通じたエンゲージメントを行っています。それらの活動全般に関してはスチュワードシップ活動全般を審議する「サステナビリティ委員会」、加えて独立した社外有識者が過半を占める「スチュワードシップ活動諮問委員会」(以下、 諮問委員会)において報告・審議する仕組みとしています。これら会議体においては、議決権行使ガイドラインの改定等に関する審議も行います。
サステナビリティ委員会は月次、諮問委員会は四半期ごとに開催しています。また、取締役会、経営会議、FD諮問委員会に対し、スチュワードシップ活動に関する報告を年1回のサイクルで行っています。
※1 過去の議事録については当社ウェブサイトをご参照ください
※2 グローバル・イニシアチブへの参画状況はこちら
PRI(責任投資原則)への積極的な関与についてはこちら
※3 当社の100%子会社
※4スチュワードシップ推進担当者25名(ロンドン、ニューヨークの担当者を含む)は、アナリスト、ファンドマネージャー、もしくは海外駐在経験者が中心となって構成されており、運用経験平均年数は20年超となっています。
当社では12の「ESGマテリアリティ」を特定しています。これは、投資先の価値向上や持続的成長を後押しするうえで当社が重要であると考えるESG課題であり、投資先のESG評価および、エンゲージメントや議決権行使判断などに当たって考慮するものです。いわば、当社のスチュワードシップ活動の計画、推進におけるベースとなるものです。
当社では、スチュワードシップ活動および資産運用におけるESGマテリアリティ関連の規定について、定期的(原則年1回)な見直しのプロセスを導入しています。このプロセスの中ではESGマテリアリティおよびそれに紐づく重点活動項目についてレビューを行うとともに、重点活動項目のマッピングによる重要度の再評価を行います。ここでは2024年度の見直し内容についてご報告します。
当社におけるESGマテリアリティおよび活動項目のレビュー・再評価は、エンゲージメントを行う現場での議論をスタートに、その後、サステナビリティ委員会や経営会議への付議、審議・承認というプロセスで実施します。こうした態勢でガバナンス、牽制機能を効かせることによりエンゲージメントをはじめとした当社のスチュワードシップ活動の高度化を進めています。
具体的にはESGマテリアリティと重点活動項目について、顧客を含めた幅広いステークホルダーの意見を確認することから始め、さらに社内にてスチュワードシップ活動を主に担うスチュワードシップ推進部とリサーチ運用部のメンバーから、追加や入れ替え等に関する意見募集を行いました。この中で示された24件の意見を両部で一つ一つ議論し、その結果を基にサステナビリティ委員会や経営会議で審議し、現状の12のESGマテリアリティと30の重点活動項目が当社のエンゲージメント活動において現時点で重要度が高いと考えるものを網羅していることを再確認しました(変更無し)。
重点活動項目は、当社がエンゲージメントで取り組む全ての活動項目の中から優先的に取り組むものとして抽出した30の活動項目ですが、その中からさらに注力する活動項目をトップピック項目として特定します。そのために社会的見地と財務的見地の2軸による再評価を行いますが、具体的な手法は以下の通りです。
以上の結果は下記図表の通りです。
社会的見地および財務的見地の双方ともに重要と評価された活動項目ほど図の右上に位置することになります。その中(上記図表のグループ⑤⑥⑧⑨)から、投資先企業とのエンゲージメントにおけるトピックとして特に重要性が高いと思われる以下の6項目(上記図表で白抜きのもの)を、2024年度(2024年7月~2025年6月)のエンゲージメントにおけるトップピック項目として特定しました。
一方、グループ①②③には、ガバナンス関連の活動項目が多く含まれています。これには、上述の「社会的見地による定量評価」に用いたデータにおいて評価項目として「ガバナンス」関連のものを含まないものがあるため、結果として同関連の評価が低くなっているとの事情によるものです。より良い環境(E)、より良い社会(S)を目指して課題に取り組むうえで「より良いガバナンス(G)」は基盤だというのが当社の基本的な考え方でもあり、エンゲージメントではこれまで通りガバナンス関連項目を積極的に取り上げていく方針です。
今回はESGマテリアリティと活動項目の追加・入れ替えには至りませんでしたが、サプライチェーンやA(I ArtificialIntelligence:人工知能)、また人道や先住民族といった幅広いテーマについての議論を交わしました。そのうちの一部は当社のESGマテリアリティを定義するESG投資ポリシー※5に「考え方」として新たに反映しています。このような一連の活動を通じ、投資先企業とのエンゲージメントにおけるテーマの鮮度を維持する運営としています。