ウィークリーレポート・マンスリーレポート
印刷する場合はこちらをご利用ください。▶ PDF版を表示
信用が記録される媒体は変化を続けてきた。
巨石、貝殻、金貨&銀貨&銅貨、硬貨、紙幣、手形&小切手、そして電子マネー
商取引には資金決済や信用の利用を伴う、それらの安全性、信頼性、安定性は自然に機能するものではない。
資金決済のプラットフォームや信用の利用と信用の供与のプロセスのそれぞれに運営管理担当者が必要だ。
プラットフォームやプロセスの機能を破壊したり悪用したりする者を懲戒し、
制度が健全に機能(強制力を持たせる)すべく管理監督する者がいないと、
お金に目がくらんだ輩が跋扈(ばっこ)する無法地帯になるリスクがある。
世界中で通用する金貨が流通していた時代は、王様の信用よりも金貨の信用の方が上だった。
純度と重さで価値を測定される金貨の絶対的な信用が、資金決済における金貨の信用力を担保し、
経済社会の価値観(金の安全性と信頼性、安定性)を支配していた。
このような金に対する信奉が19世紀に金本位制を生んだのだが、それは別の回に解説したい。
金は希少な鉱物であり、商業活動が盛んになるに比例して商人が必要とする金貨の量を賄うに匹敵する産出量は無かった。
そうすると金不足で商業ができないことになる。
人類は金貨の代わり、もしくは補助となる何かが必要だと思った。
そして人類は創意工夫で克服した。
紙幣や預金証書、譲渡性預金、手形・小切手などと言った便利なモノを次から次へと発明していったのだ。
金貨制度、その後の金本位制を経て、現代社会では不換紙幣のみが流通する金融システムへと変わった。金に変わる金融のシステムは安全性、信頼性、安定性を守り育てる権威者(=信用の管理者)を必要としている。
現代社会では、政府と中央銀行がそれを担当しているが、民主国家においては国民が選挙によってその政府を選択し、選挙によって選択された政府が中央銀行の人事を管理するという構図になる。
信用を管理する者(=自国通貨を発行し、その流通と価値の保全を担当する者)の資質や能力が、経済活動と国民生活の安定と発展に大いに影響を与えるのだが、国民の民度が管理者の資質や能力を決めているとも言える。
私たちが最も大切にしている信用の記録は何だろう?
それは次回の話
※当資料は春山昇華氏の個人の見解であり、三井住友トラスト・アセットマネジメントの見解を示すものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
※当資料の内容は掲載時点における市場環境やこれに関する春山昇華氏の見解や予測を示すものであり、春山昇華氏および三井住友トラスト・アセットマネジメントがその正確性、完全性を保証するものではありません。