ウィークリーレポート・マンスリーレポート
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金貨は金の含有量によって価値の測定ができるという信頼性と安心感によって、
国際的な取引、大規模な商品の購入の支払い手段として広範囲で使われるようになった。
しかし、商品の提供者に対して金貨を大量に送る、もしくは大量の金貨を持参して商品を購入するのは、様々な問題点があった。
1.金貨は非常に重いので持ち運びが大変だった。銀貨の10倍の価値があったので少量を持ち運べは良いとはいえ、
金は水の約20倍の重さなのだ。
2.盗難の恐れが高かった。少量でも大きな価値があり持ち運べるという事は、盗賊の最高のターゲットだった。
3.支払い完了までの手間暇が面倒だった。
前回紹介した「フランス王の身代金として支払われた金貨の真贋を確認する作業に4カ月を要した」
という話に代表されるように、受け取る側に品質の確認が必要であった。
このように、支払に金貨を用いることは煩雑だと認識されるようになった。
商人は、取引の安全性と簡便性を求めて金貨を使わない方法を模索した。
そういう模索の中から手形が生まれた。
売り手と買い手が同じ銀行に口座を持っていれば、相手に現金を渡す必要が無いので、商売の決済としては便利で安全だった。
手形の利用は一気に広がっていった。
手形の利用の増加は銀行にもメリットが大きかった。
銀行の活動の原資である預金が増加するので、銀行の活動範囲が広がる。
手形の発行、口座間の資金移動、手形の回収などで手数料を徴収できる。
こうして、金融決済システムを提供する銀行は、商売のサポート役から商業活動の中心的な役割へと台頭していった。
銀行は最先端企業だったのだが
それは次回の話
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