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商品やサービスを「購入」することは、「商品やサービスとお金を交換する」という行為だ。日本の円を外国のお金に「両替」することは、「日本の円と外国のお金を交換する」という行為だ。
交換するには、交換比率が存在する。そして古今東西の常識として交換比率は需給によって決定される。
下図は、外国のA国、日本、世界の商品サービスがバランスしており、均衡した交換比率が成立している状態を示している。
【条件】
・3者の存在量は、100ずつ
・1商品サービス=1日本円
・1商品サービス=1外国のお金
・1外国のお金=1日本円
以上の状態が均衡交換比率だ。
・商品サービスの量が100から150に増加
・日本円の量(=流通する日本円の総額)が100から600に増加
・外国のお金の量(=流通する外国のお金の総額)が、100から150に増加
とする状態が、2個目の図だ。
この場合の3者の交換比率は、10年前とは異なってしまう。三者の新たな需給関係を反映し
・1商品サービス=4日本円(=物価が4倍に)
・1商品サービス=1外国のお金
・1外国のお金=4日本円(=日本円が4分の1に下落)
という状態が新しい均衡交換比率だ。世界の商品サービスと外国のお金は、10年間の間で同じように増加したので、交換比率は変わらない。しかし、これらの2者に比べて日本円の量は大幅に増加したので需給関係が悪化し、交換比率も悪化したのだ。
上記のような極端な状況は過去60年ほどの間は起こっていない。
しかし、第二次世界大戦終戦後の5年間は上記よりも酷い状況が発生した。
1945年以降の日本円の増加は未曾有の増加(1944年末からの7年間で、28.5倍の増加)となった。
その日本円の極端な増加は、世界の商品サービスや外国のお金との交換比率を大幅に悪化させた。具体的には、日米開戦時の「1米ドル=4.25円」が、1949年には「1米ドル=360円」という“円の価値が85分の1になる”という悪化を引き起こした。通貨発行の極端な増大は、為替の大幅な下落を引き起こしてしまう。
アべノミクスでお金の量が増えたと言われているが、、、
それは次回の話
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