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老後資金に不安なく暮らすためには、定年退職後も「65歳までフルタイムで働き、元気なら70歳を越えても週に2、3日は働いて稼ぎ、生活費の一部を作り出す」ことが大切です。
何故なら、定年が60歳から65歳に移行する企業は増えていますが、未だ、60歳定年の企業が多いのが現実です。そして、現在50歳代の会社員の年金受給開始年齢は65歳。この60歳から65歳の間に収入の空白の期間が発生します。
そのために、会社員の大半が「雇用延長」または「再雇用」を希望します。これらを利用して会社に残って働くことができますが、一方で、多くの場合、給料が大幅に減ります。元の水準の4割程度まで減る人もいるようです。
それでも働きたいと思うのですから、収入がない期間をどのようにしのぐか、が多くの会社員の課題なのです。
家計のコンサルタントを行う私の視点から言うと、この経済的な問題をクリアする方法は定年を迎える前から次の3つのことを考えておくことです。
①収入を増やす ②支出を減らす ③資産を運用する
まずは「①収入を増やす」ことを考えてみてください。
「①収入を増やす」は無理だと思われる方がいるかもしれませんが、初めから諦める必要はありません。今は、働き方改革などで副業を公に認める会社が増えています。
私のお客さまの中には、本業のほかに趣味や特技に関連することで、収入を稼ぐ方がいます。
例えば、自転車が好きな人が自転車のメンテナンスの仕事を始めたり、パソコン好きの方がパソコン関連機器の修理を引き受けたり、写真を撮るのが得意な方が撮影教室を開いたり、文章を書いたりして、定年後に“サイドワーク”で稼いでいる方が何人もいます。
稼ぎとしては多くないかもしれませんが、生活の足しにはなるのです。
次に、「②支出を減らす」を考えてみてください。
退職金や貯金を大幅に切り崩さないで生活できるよう、収入の減少に合わせて支出を減らすことが必要となります。
そして「③運用をする」を考えることです。
できれば、定年前から収入の空白期間に備えて資産運用を検討することが望ましいです。「運用するだけのまとまった資産なんてないよ」という人もいると思います。急にお金は用意できないので、60歳から突然始めるのではなく、現役期から「①収入を増やす」、「➁支出を減らす」に取り組んで毎月余るお金を確保し、貯金を増やしておきます。貯金がたまっていなければ、貯めながら投資もするという「並走」も可能です。
少しでも早く始めて、定年後に向けて予め「③運用をする」に慣れることをお勧めします。
運用は始めから「何百万円」などと大きな金額を投じる必要はありません。知識がなくて始められないという方もいるかもしれませんが、投資を始めることで学ぶことも多いのも事実です。
ですので、まずは無理のない毎月数千円などの少額から始め、慣れてきたら積立額を増やすといったように経験に合わせて積立額を増やすことが理想的です。投資のための知識等は、このコラムで今後、お話していきます。
そして、この3つを自分の状況に合わせてうまく組み合わせて、例えば、毎月5万円を用意したい場合、2万円収入を増やし、2万円支出を減らし、残り1万円を運用資産から取り崩すというように、毎月の必要額の帳尻を合わせることも可能です。
現役時代から「定年後は何をしたいのか」「自分には何ができるのか」と考えていくと、今、自分は何をするべきかが見えてくるでしょう。定年後は“変化”が求められるます。すぐに自分を変えることは難しいですが、50代から老後生活に向けて、現実を理解して、対応を考えておくことで、変化への対応がしやすくなるものと思います。こうすることが、確実な老後資金を作ることになりまた豊かな老後生活を過ごすことにつながるのです。
※当資料は横山光昭氏の個人の見解であり、三井住友トラスト・アセットマネジメントの見解を示すものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
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