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老後に向けた資産形成を始めるには早ければ早いほどよく、貯金と投資をうまく使い分けて着実に資産形成することが理想です。投資の初心者は投資信託での投資がおすすめです。投資信託について理解し、家計とのバランスをとりながら10年先、20年先を見据えてコツコツと、積み立てたいものです。
このように投資信託を使った積み立てを考えるのなら、iDeCoやつみたてNISAといった投資優遇制度を利用すると、より効率的に資産形成ができます。本来なら株式や投資信託などから得られた配当や譲渡益に20.315%(源泉分離課税と復興特別所得税の合計)の税金がかかりますが、この2つの制度ではかかりません。
iDeCoは個人型の確定拠出年金です。2017年1月に加入対象範囲が拡大し、公務員や専業主婦(主夫)も利用できるようになったことをきっかけに、注目を浴びました。原則60歳まで引き出すことができないため、老後資金を作るにはよい制度であるといえます。
iDeCoは、何に投資するのかを自分で選択でき、投資信託だけではなく定期預金や保険商品を選択することも可能ですが、この低金利の時代ですから、積極的に投資信託を選択してみてはいかがでしょう。
投資信託であっても定期預金であっても、利益に対して課税されません。それに加え、拠出した金額は全額所得控除、受取時は受け取り方により退職所得控除や公的年金等控除が受けられ、税制面で優遇されるのです。この点はiDeCoの特徴であり、大きなメリットです。
毎月の拠出額には上限があり、自営業か会社員か、会社に企業年金制度があるかないかなどにより異なります。それらにより月額1万2,000円〜6万8,000円の範囲で上限が決められています。
税金面だけを見ると専業主婦(主夫)には拠出時のメリットがありません。ですが、将来受け取る公的年金に上乗せする年金がつくることができる点はメリットです。
最近では加入年齢や受け取りの上限年齢の改正が見込まれており、より長寿社会にあった制度になっていくものと思います。
もう一つはNISA(少額投資非課税制度)がつみたて版となった「つみたてNISA」です。2018年1月より始まりました。NISAでは一括投資ができましたが、つみたてNISAは積立投資しかできません。年間の上限額は40万円で、非課税期間は20年。しかも、つみたてNISAは金融庁の基準をクリアした長期・積立・分散投資に適した投資信託と上場株式投資信託(ETF)に限定されており、販売手数料はゼロ(ノーロード)、信託報酬も安いものが多いため、低コストでの運用が可能です。
iDeCoのように換金に年齢制限がないため、途中引き出す予定があっても良いですし、旅行資金などの自由資金として楽しんで貯めていっても良いでしょう。
どちらがいいのかと聞かれることがありますが、単純に節税効果だけを考えると、iDeCoの方が大きくなります。もし、年額27万6,000円かけられる場合、自分の所得税率(復興特別所得税除く)が20%ならば、住民税10%と合わせると約30%の8万2800円が1年間の節税額になります。これがiDeCoのメリットです。
つみたてNISAはiDeCoほどの所得税の節税効果はありませんが、分配金や譲渡益にが非課税となり、かつ自由に引き出せる点が魅力です。
可能であれば老後に向けて、両方の制度を利用できると安心です。できれば70歳くらいまで積み立てる気持ちで、取り組んでいきたいものです。
※当資料は横山光昭氏の個人の見解であり、三井住友トラスト・アセットマネジメントの見解を示すものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
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