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老後に向けた資産形成を始めるには早ければ早いほどよく、貯金と投資をうまく使い分けて着実に資産形成することが理想です。投資の
定年後子供も独立し、家計の支出は自然に減るはずだと思ってはいませんか?
60歳で定年を迎えても、なかなか生活スタイルは変わりません。
今は雇用延長が利用できたり、再雇用で働く人が増えていますが、定年前の生活スタイルを維持できるとは限りません。予定していた以上に早いペースで老後資金がなくなっていくと、老後破綻となりかねません。将来を見据えた暮らし方に変えていく工夫をしていくことが必要です。
数年前に家計相談に来た、お子さん二人が独立し、今はご夫婦二人で暮らしているHさん(64歳 再雇用)、妻(63歳 パート)の家計を見てみましょう。
Hさんは60歳で定年を迎えました。再雇用で働き始めると収入(月額16.9万円)がガクッと減りましたが、妻のパート代(月額2.5万円)や60歳から20年間で受け取る企業年金(月額10.2万円)で月額30万円ほどの手取り収入がありました。61歳になるとHさんの特別支給の老齢厚生年金が月額8.6万円、Hさん妻は60歳から月額2.2万円の受給が始まりました。
受給が始まると収入は月額40万円ほどとなり、毎月の生活費約37万円に足りるようになることが見込めました。そのため、それまでは貯金から生活費を補填して暮らしていました。年金受給が始まるまでの1年間の不足する生活費や固定資産税や旅行費など支出もしたため、なんだかんだとお金を使ってしまい、64歳で家計相談に来られた時には貯金は1,200万円。これがHさんご夫婦の老後資金の全てでした。
この収入が長く続けば問題はなかったのでしょう。ですがHさんは65歳で退職です。Hさんの年金受給(65歳~66歳17.9万円、66歳以降14.8万円)が始まり、妻の年金受給(65歳以降8.5万円)も始まります。年々状況が変化する中で、老後資金をいかに減らさずに暮らしていけるかがHさんご夫婦の課題です。
何と言っても不安なのは、有期年金となっている企業年金の受取が終わる80歳以降の暮らし。年金収入だけとなるとご夫婦で手取り月額23万円ほどとなる見込みです。生活費に月額37万円もかけていると、月額14万円の赤字。1,200万円あったとしても7年でなくなる計算です。
それを避けるには生活費をダウンサイジングするしかありません。
支出を抑えるためには、まず食費を見直してみましょう。
年をとると、家族人数も減ることから徐々に家事が面倒になりがちで、食事も外食、中食が多くなってしまいます。それ自体は悪いことではないのですが、お金の状況に合わせて利用していかないと、支出が多くなりすぎてしまいます。
次に、通信費です。特にスマートフォン、携帯電話は一度契約するとそのまま継続して使ってしまいがちです。時代とともに契約可能なプランが変わっていますし、安く利用できる会社も多くなっています。ご自分の使い方が、通話が多いのか、インターネットをよく見るのか、など、自分にあった内容の契約に見直すことも支出の管理としては大切なことです。
そのほか、交際費や洋服代など、ある程度見直すことができるところはあるはずです。
こういった見直しをして支出を削減でき、余剰金ができたら、運用することを考えていきましょう。定年後の投資となると「騙される」などよくいないイメージがあるかもしれません。ですが、今は人生100年時代です。100歳まで生きることを考えた資産形成をするべきです。
Hさんは今64歳、企業年金が終わる80歳以降の収入の補てんができることを目指し、リスクを抑えた運用を選んでいくことを考えても良いでしょう。今からでも毎月の余剰金を長期・分散・積立の投資をしていけば、複利の効果も加わり資産を増やす期待ができるでしょう。
「今が何とかなっていればいい」、だけでは済まない老後生活。長期的に考えて、ゆとりある暮らしをするための準備をすることが必要です。
※当資料は横山光昭氏の個人の見解であり、三井住友トラスト・アセットマネジメントの見解を示すものではありません。また、金融商品取引法に基づく開示書類ではありません。
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※当資料内の家計相談は、実際の家計相談を基に構成した創作です。