ウィークリーレポート・マンスリーレポート
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友好的関係にある、或いは取引先である企業と相互に安定株主となることで、短期的な視点の株主による経営への介入を制約して、長期的視点の安定的経営を強化するという役割があるという見方もあるようですが、持ち合いは日本独特の協調的な取引関係と資本関係の二重の関係性を形成してきました。グローバルでも資本提携やジョイントベンチャーなど、資本拠出を伴う協業関係が存在するにはしますが、取引や共同開発などの協業の内容を明確に定めるケースが一般的です。当社が考える政策保有株式の問題点は以下の通りです。
安定株主作りの結果として、株主総会において企業にとって好ましい議案が提案・可決されることになり、外部株主による監視機能が効かず経営規律の弛緩を招くことが懸念されます。
株式保有を前提に企業間取引を行っている場合、特定株主に対する利益供与の懸念があります。一般株主が獲得しえない利益(投資リターン)を得ているなら、それは株主平等の原則に反することとなります。
本来は会社の成長に対して使うべき資金が政策保有株式に使われることで、効率的な経営の妨げとなってしまう状況、つまり資本の空洞化が生じる懸念があります。
政策保有株式はバランスシートに計上されるものの活用されていないリスク性資産でもあります。これにより損益計算書や貸借対照表に一定の影響があるのであれば資本管理上非効率と言えます。
これは特に株式を持たせている側の問題ですが、取引先に株式保有を強要している場合には独禁法上の優越的地位の濫用にあたる懸念があります。これでは一般株主利益が損なわれる懸念があります。
次回は「コーポレートガバナンスコード(以下、CGコード)の要請など」を掲載予定です。
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