ウィークリーレポート・マンスリーレポート
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当社は、投資先企業以外にも幅広いステークホルダーへのエンゲージメント活動を実践しています。政府や官公庁、国際イニシアチブ等、幅広い機関をエンゲージメント対象として積極的に活動することで、企業を取り巻く外部環境の改善を図り、投資先企業の持続的成長の実現確度の引き上げにつなげることを目指しています。
こうした考え方の下、関連する国際会議にも参加し、最先端の知見を国内にも還流することで、より実効性を高めることに努めています。加えて、会長や社長などトップマネジメント自らもこうした活動に参加し、当社のオピニオンを積極的に対外発信することで、アジア最大級の運用会社としての影響力をグローバルに発揮しています。
ここでは、2023年10月に東京にて年次総会が開催されたPRI(国連責任投資原則)と同年12月にドバイにて開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)に焦点を当て、これらの国際会議の概要と共に当社トップマネジメントの活動状況を紹介します。
2023年10月3日から5日の3日間、PRIの年次総会PRI in Personが日本で初めて開催されました。場所は品川グランド・プリンスホテル高輪、来場者は約1,300名(満席)、うち7割程度が海外からのアセットオーナー、アセットマネージャーや政策関係者などの有識者で、この種の投資家会議としては国内では最大規模の国際色豊かな大型イベントとなりました。
今回のテーマは、「Moving from commitment to action!」です。気候変動問題に関し、「コミットメントの段階から、行動を起こし成果を出すフェーズに入った」とのメッセージで、投資の力を生かしたサステナブルな社会の実現に向け、「Future taker」でなく、自ら「Future maker」になろう、との掛け声が印象的でした。特に今年の会議は、2050年の温暖化ガス排出ネットゼロを目指すためには気候変動への対応だけではなく自然資本への対応も必須であることを強く感じさせるものとなりました。
2日目の「Climate and nature: where are we now, and what action can investors take?」と題したパネルディスカッションに当社社長の菱田が登壇し、気候変動及び自然資本対応策の重要性と当社スチュワードシップ活動のリーダーシップについて発信しました。(写真1)
写真1:PRIパネルディスカッションの様子
(写真左から3人目、および上段アップが菱田)パネルディスカッションでの主な発言は以下の通りです。
Q1:いわゆる「惑星の危機(planet crisis)」に対して、科学者からはパリ協定※1における1.5度の温暖化に近づいているとの警告が出ていることを踏まえ、SMTAMはどのように対応していますか?
※1:2015年のCOP21で採択、2016年に発効した気候変動問題に関する国際的な枠組み。2020年以降の温室効果ガス削減に関する世界的な取り決めが示され、世界共通の産業革命前比「2度目標(努力目標1.5度以内)」が掲げられている。)
Q2: 責任ある投資家はどのような行動を優先すべきですか?
Q3: パリ協定を達成するため、自然資本との取り組みという観点でどのような取り組みを行っていますか?
※2:投資先企業に対し、エンゲージメントを通じて自然の損失を抑え、回復することなどを求めていくイニシアチブ。
Q4: 国際社会がパリ協定を実現させることができるという楽観的な見方をどう思いますか? 責任ある投資家への行動喚起は何ですか?
なお今回、当社は初の試みとして、日本企業として唯一のゴールドスポンサーとして参画し、欧米大手各社中心の出展に交じり会場内に独自のブースを設置しました。(写真2)
当社ブースにおいては、PRIやマスコミ関係者、同業他社以外にも、国内大手上場企業の役員や年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、世界的に著名な米国の公的年金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(CALPERS)、カリフォルニア州教職員退職年金基金(CALSTRS)などの責任者ともさまざまな情報交換を行い、連携を深めました。また、菱田の登壇直後に当社ブースに来訪された韓国の公的年金基金の責任者からは、当社の韓国企業や韓国政府とのエンゲージメント活動について多くの質疑を受けました。なお、当社ブースに来訪された日経ESGの記者からは「自然資本や生物多様性の話が大変参考になった」とのことで、一部が2023年11月8日発行の日経ESG誌に掲載されました。
写真2: 当社ブースの様子